キララ家のピンチ ~ベビー君・ハナコを連れて家を出るの巻・四日目、夫のもとに戻る~
「迎えに行くから」
という言葉があり、悩んだ結果、家に戻ることにした。
両親は複雑な思いで私の荷造りを見守っていた。
私の思いは一つで、ベビー君のことを考えると、「まだ、シングルマザーになってはいけない。」ということだけ。
産まれてたった3ヶ月で父親に「捨てられた」なんてことはあってはならない。
どんな父親でも父親なので。
穏やかな両親との昼食の後、「じゃあ、そろそろ行くか。。」と車に荷物を乗せ、実家を出た。
車中、母はぎゅっとベビー君を抱きながら、「これからは我慢しないで、何かあったらすぐに帰ってきなさい。」と言ってくれた。
あっという間のドライブ、20分ちょっとで家に着いてしまった。
マンションのエントランスに夫の姿。
ああ、帰ってきちゃったんだ。
さあ、これからどんな生活が待っているのか?
ごくっと唾を飲み込み、車を降りた。
そこからは、せっせと荷物を運び出し、部屋の元あった位置に戻し一見、何事もなかったかのような空間に戻った。
両親も帰ってしまい、夫と二人になってしまった。
私「何か言うことはないの?」
夫「はあ?何もないよ。いい加減にしろよってだけ。」
私「・・・・。」
夫「何?何かって何?」
私「え・・・、じゃあ何で迎えに行くって言ったの?」
夫「老人に迷惑かけてもいけないかと思って」
私「老人って。。。それだけ?」
夫「そう、老人じゃん。それから言っとくけど、お前と子供の面倒は見るつもりないから。でも、籍は抜かない。慰謝料とか払うの嫌だから。家には住まわせるけど、また、自分の立場わかっていないようだったら追い出すからな。」
・・・・。
家に戻るんじゃなかった。
期待しちゃいけないと思っていたけど、「ごめん」と言わないまでも一言、「お帰り」くらい言うのかと思ったら、とんでもない言葉がでてきて絶句!
ここで、ひとこと言われていれば、違ったのにね。
つくづく残念な人だと思った。
私も意を決して、「お願いがある。ベビー君には大きな声出さないでほしい。私にも、穏やかに話してほしい。怖くて言いたいことも言えなくなっちゃうから」
夫「怖いなら何も言うな。」
ああああ・・・なんで戻っちゃったかなぁ、私。
もう「無」になることに徹しよう。
淡々と、準備を始めるだけだ。
夫「あ、こいつ、さっさと保育園とかどっかに預けて仕事しろよ。保育園探しとかは手伝うつもりないから。わかったか?」
私はぐっと右手で左手首を握り、怒りと恐怖を覚えながらも「わかった」と一言だけ発した。
強く、したたかに、上手くかわさなければ!
保育園はいずれにしても入園できていたほうが先々助かるだろうし、保育園探しは早速着手しよう!
私「今日の夜ごはん何がいい?材料ないから買ってくるけど」と話題を変え、ベビー君を抱っこ紐に乗せ、出かける支度をした。
スーパーへの道中は、ぶつぶつ独り言を言いながら歩いていたのですごい怪しい人物に見えたかもしれない。
でも、あのまま家にいたらもっといろいろ言われてまたおかしくなりそうだったから。
さて、これからの生活、きっとこんな風に心にぐっと溜めつつも何でもないように装うことになるんだろう。
何事もなかったかのように過ごしていても、絶対、されたことは忘れない!
一生ね!
ママ、頑張ります!